SCANTECH 2012 プログラム


『プロに学ぶSEM技術』
「試料前処理何でも鑑定団」

東京都市大学 世田谷キャンパス

2012年9月14日(金)10:00~19:30

       
 演題 講演者 所属
SEMロードマップ報告     
   1.イントロダクション 稲里 幸子 パナソニック
   2.ロードマップ報告「分析、SEM装置」 新藤 恵美 東京都市大学
  米光 恭子 材料科学技術振興財団
   3.ロードマップ報告「試料・前処理(生物)」 村井 則子  埼玉医科大学 
   佐藤 眞美子  日本女子大学
   4.ロードマップ報告「試料・前処理(材料)」 乙部 博英   旭化成ケミカルズ
   森谷 久雄    帝人
基調講演    
  5.SEMのイメージング能力の現状と今後の可能性 佐藤 貢 日立ハイテクノロジーズ
  ディスカッション    
基礎講座    
  6.減速系電子光学って何? 吉田 明 東京都市大学
一般講演    
   7.試料ダメージを防ぐ前処理、観察・分析方法  藤本 亜由美 カネカテクノ リサーチ
   8.マイクロエッチピッチ法によるSiC基板内欠陥の精密・迅速評価 一色 俊之 京都工芸繊維大学
   9.教科書通りにいかない植物・食品のSEM試料作製法 矢口 行雄 東京農業大学
   10.三次元再構築像観察に適した直交配置型FIB-SEMの特徴とその応用 原 徹 物質・材料研究機構
ユーザー報告    
   11.紫外レーザーablationを利用した超薄切技法の提案  金丸 孝昭  九州大学
 「 ポスターセッション&フリートーキング」    
  ポスターセッション&フリートーキングの場では、演者に講演内容のポスターを提示していただき、それを見ながら個別に技術交流をすることが

 できます。また、簡単なプレゼンテーションも可能です。奮ってご参加下さい。

講演概要


1.イントロダクション
稲里 幸子(パナソニック)
本分科会では、SEM技術の進化(3~5年)を見据えて、2010年度から『SEM要素技術ロードマップ』作成に取組んでおり、調査結果から抽出した課題“装置・分析・前処理・サンプル・その他”のカテゴリーに分類し、これらの要素技術の現状、将来展望について2012年度完成を目標として取組んでいる。 今回、最もご要望の高かった前処理を含め、課題に対する技術の共有化、今後の将来展望について議論できれば幸いである。


2.ロードマップ報告「分析、SEM装置」
新藤恵美(東京都市大学)、米光恭子((財)材料科学技術振興財団)
SEM分科会では、2012年度の完成を目標に、要素技術ロードマップ(将来展望)の作成に向け取り組んでいる。ロードマップ作成にあたっては、アンケートやヒヤリング調査を実施した結果から得られた課題を分類している。今回はその中から「分析」とSEM装置」について報告する。アンケートの結果では、SEMの使用目的が形態観察とともに「元素分析」というユーザーが全体の3/4 を占めていた。また、「使用しているSEMへの満足度」では40%が不満足となっており、ユーザーは何らかの課題を抱えていることが伺えた。本会では、これら浮かび上がった各現状の課題を踏まえて将来展望について検討した結果を報告する。


3.ロードマップ報告「試料・前処理(生物)」
村井則子(埼玉医科大学)、佐藤眞美子(日本女子大学)
SEM分科会では創立20周年の記念行事の一環として、ロードマップの作成に取り組んできた。ロードマップ作成にあたり、アンケートやヒアリングを実施し、調査結果から課題を整理・分類した。ここでは、分類されたカテゴリーの中から、「医学生物学分野」における「試料・前処理」について報告する。生物分野に関する課題としては、すでに確立されている試料作製および観察技術が伝承されていないことが明らかとなり、また新たな目的に必要な観察技術の開発の必要性等も分かってきた。今回は、現状の課題を踏まえて将来展望について検討した結果を報告する。


4.ロードマップ報告「試料・前処理(材料)」
森谷 久雄(帝人)、乙部 博英(旭化成ケミカルズ)
走査電子顕微鏡分科会では、SEMユーザーの方々にアンケートをお願いし、その結果を元に、SEM関連技術ロードマップの作成に向けて取り組んでいる。このアンケート結果の中でも特に多くの御意見、御要望があった項目が「試料・前処理」である。材料系における対象試料は、高分子、ガラス、半導体、セラミック 、金属、環境エネルギー関連に大別され、試料の構造を可視化するための前処理技法として、断面作製、帯電対策、固定、染色が挙げられた。ここでは、各々の試料、前処理技法について課題を明確にし、将来展望について検討した結果を報告する。


5.SEMのイメージング能力の現状と今後の可能性
佐藤 貢(日立ハイテクノロジーズ)
SEMのイメージング能力の源泉は、プローブ形成技術と信号検出技術にある。プローブ形成技術は、電界放出形(FE)電子源の実用化を経て、短焦点レンズ技術、リターディング技術等の開発により、大幅に向上した。一方、最新の信号検出技術では、信号電子の放出角とエネルギーに対する検出器のアクセプタンス(信号検出範囲)をさまざまに選択でき、これに加速電圧の組み合わせが加わって各種試料情報の取得が可能になった。さらに、100V のような極低加速電圧での反射電子情報と二次電子情報の弁別が可能になり、新たなコントラストの世界が開拓されつつある。本発表ではこうした背景を踏まえ、SEMのイメージング能力の現状と今後の可能性について整理する。


6.減速系電子光学って何?
吉田 明(東京都市大学)
SEM観察における要望や目的の1つである、最表面や極表面の凹凸を忠実に観察には、1kV以下の低加速電圧の電子ビームによる観察が必要不可欠である。しかし、低加速電圧の電子ビームは収差が大きく高分解能の観察ができない。その解決法として減速系電子光学(リターディング、ジェントルビーム、ブースティング) を利用すると収差が軽減されることから、極表面の高分解能観察が可能となった。 そこで、講演では減速系電子光学の原理、利点、欠点などを考察し、さらに減速系電子光学を使用することで、二次電子検出特性に影響することから、検出器の種類や位置などで予想される現象を考察する。


7.試料ダメージを防ぐ前処理、観察・分析方法
藤本 亜由美(カネカテクノリサーチ)
電子顕微鏡下で観察・分析する場合、試料本来の情報を最大限に得るために様々な要因を考慮しなければならない。前処理では、断面作製方法や導電性付与など試料の組成や構造によって使い分けが必要となる。観察や分析時には、装置固有の特性やダメージの発生過程を理解し、適切な観察・分析条件を選択する必要がある。 本講演では、ダメージを受けやすい高分子材料、複合材料を中心とし、それぞれの前処理、観察・分析例を紹介する。


8.マイクロエッチピット法によるSiC基板内欠陥の精密・迅速評価
一色 俊之(京都工芸繊維大学)
シリコンカーバイド(SiC)は新世代パワー半導体の素材として評価が高い。SiCデバイスの信頼性向上にはウェハー中の欠陥除去が不可欠で,欠陥分布を特定しそれを避けてデバイスファブリケーションを行う技術が検討されている。欠陥評価のため,従来の前処理法(アルカリ溶融塩によるエッチング処理)を 高度化してこれまでよりサイズの小さな極微エッチピットを作製し, さらに高性能な低加速電圧SEMを併用することにより,TEM回折コントラスト法に匹敵する空間分解能で転位を評価することができた。TEMに比べ,格段に簡便な前処理で広領域の欠陥評価が可能な技術として注目される。


9.教科書通りにいかない植物・食品のSEM試料作製法
矢口行雄(東京農業大学)
植物や食品の基礎および応用研究において、SEMによりその構造を観察することは必須である。しかし、多くの研究者は、容易にSEMで観察できるものと思い、さらに低真空SEMの普及により、より簡単に写真が得られるものと電顕室に来室する研究者が増えている。特に食品関係、たとえば“ヨーグルト”や“豆腐”の 1万倍以上の真の断面構造を観察するには、低真空SEMまたは表面観察を目的としたSEM試料作製法では得られない。やはり高分解能FE-SEMの威力は素晴らしい。農学系の多くのSEM用試料作製を失敗してきた私は、現在までに多くのSEMの教科書を基本に、アレンジしながら依頼された試料を試行錯誤し指導してきた。そのいくつかをご紹介できれば幸いだ。


10.三次元再構築像観察に適した直交配置型FIB-SEMの特徴とその応用
原 徹(物質・材料研究機構)
FIBとSEMが直交する配置のダブルビーム装置の特徴と、その応用例を紹介する。この装置は、従来のダブルビーム装置と比べて高い空間分解能、高いコントラストでシリアルセクショニングによる三次元再構築像が取得できるように工夫され ている。さらに、EDSやEBSDと組み合わせたシリアルセクショニングや、STEM(BF/ADF)観察、アルゴンイオン銃などを装備する多機能な観察装置となっている。本装置の種々の材料の観察例を紹介するとともに、今後の適用の可能性を検討する。


11.紫外レーザーablationを利用した超薄切技法の提案
金丸 孝昭(九州大学)
TEMを用いた生物立体再構築法は、超薄切法により連続的に数百〜数千枚の切片を作製するという大変労力を強いられる方法である。近年SEM鏡体内に内蔵されたダイヤモンドナイフあるいはガリウムイオンビーム装置にてこれを簡易に達成する手法が普及しているが、1)切削面積の拡大、2)物理的表面傷の除去 、3)FIBにおける熱変ダメージの軽減などが要求されている側面もある。そこで、深紫外レーザーパルスによる非熱光解離を用いたablationによる連続的ブロック面表出技法(LANTome : Light Ablation Nano Tome)を提案する。本法を用い、切削面積の飛躍的拡大や表面の起伏の自動低減、熱変性の回避などを調査した。