SCAN TECH 2007プログラム


これで解決!! 失敗に学ぶSEMテクニック

日本女子大学 80年館851教室(東京都文京区)

2007年9月14日(金)10:00〜18:30

      
演題 講演者 所属
データ解釈を失敗しないための基礎 10:00〜12:30
  ・入射電子の試料内振る舞い(シミュレーション)からみたSEM画像 石谷 亨 日立ハイテクノロジーズ
  ・各種SEMにおける電子検出法と像の見え方の違い 小野昭成,柴田昌照 日本電子
  ・各社検出器によるSEM像コントラストの違いの紹介    
    日本電子 菊地真樹,柴田昌照 日本電子
    日立 多持隆一郎,渡邉俊哉 日立ハイテクノロジーズ
    カール ツァイス 立花繁明 エスアイアイ・ナノテクノロジー
    FEI 中村美樹 日本エフイー・アイ
昼食 12:30〜13:30
計測 −あなたの計測は正しいですか?− 13:30〜15:20
  ・SEMの倍率精度を低下させる要因 渡邉俊哉 日立ハイテクノロジーズ
  ・断面SEMにおける測長再現性評価 濱口 晶 東芝
  ・SEM画像の立体化と計測 直江紀英,山本健太 西華産業
休憩 15:20〜15:40
分析−こんな間違いをしたことはありませんか− 15:40〜17:00
  ・EDX分析とWDX分析で注意すべき点 三井千珠 オックスフォード・インストゥルメンツ
  ・故障解析におけるSEMの役割と限界 井原惇行 楠本化成
ポスターセッション&フリートーキング 17:10〜18:30



講演概要


入射電子の試料内振る舞い(シミュレーション)からみたSEM画像
石谷 亨(日立ハイテクノロジーズ)
SEM画像においてよく用いる信号種は二次電子(SE),後方散乱電子(BSE)である。 SEM画像が表す試料の凹凸や元素の情報にSEやBSEはどの様な特質にて寄与しているのだろうか。 最近の低エネルギー(Eo<1keV)電子照射では,入射電子の直進性が弱く,その振る舞い領域の大部分がSE脱出最大深さ(10nm)層内に収まるようになる。 ここでは,SEおよびBSE信号の特質やその照射エネルギー依存性について入射電子の試料内振る舞いの観点から概説する。 ただし,試料はアモルファス構造とし,結晶性効果については触れない。


各種SEMにおける電子検出法と像の見え方の違い
小野昭成,柴田昌照(日本電子)
試料から放出される二次電子や反射電子を検出して画像信号とする二次電子検出器や反射電子検出器は,その置かれる位置によってSEM像の見え方に大きな影響を及ぼす。 特に最近の超高分解能SEMに用いられるTTL検出器は従来のアウトレンズ検出器とはコントラストが大きく異なる。 ここでは,各種SEMで用いられている検出器の種類と得られる像コントラストの違いを整理すると同時に,アウトレンズ検出器における照明効果と凹凸感の違いなどに触れ,データ解釈を失敗しないための注意について述べることとする。


各社検出器によるSEM像コントラストの違いの紹介−日本電子
菊地真樹,柴田昌照(日本電子)
日本電子の超高分解能SEMには,対物レンズの磁場を通して二次電子を検出する上方検出器,対物レンズ下方に置くことで主として反射電子を検出する下方検出器,半導体素子を使った反射電子検出器,薄膜試料の透過電子を検出するSTEM検出器などがある。 ここでは,試料ステージにバイアス電圧を印加する減速モードと反射電子検出器を組み合わせた結晶性試料の低電圧観察を中心に紹介する。


各社検出器によるSEM像コントラストの違いの紹介−日立
多持隆一郎,渡邉俊哉(日立ハイテクノロジーズ)
最近の走査電子顕微鏡(SEM)は,試料特性や観察目的に応じた情報(二次電子(SE),反射電子(BSE))を選別して検出することが可能である。 そのため,これまでのSEMと比較して,観察条件によって像情報を理解し像解釈を行う必要がある。 シュノーケル型対物レンズ(セミインレンズ型対物レンズ)SEMでは対物レンズの上側に二次電子検出器を搭載し,SEとBSEを選別して観察している。 今回,本検出器の特性とSE/BSEを用いたときの像解釈の方法について紹介する。


各社検出器によるSEM像コントラストの違いの紹介−カール ツァイス
立花繁明(エスアイアイ・ナノテクノロジー)
低加速電圧をはじめとした観察可能条件拡張や検出方法の多様化によって,これまでには得られなかった画像情報が取得できるようになりつつある。 しかしその一方,SEM像についてもその解釈が複雑化している状況にある。 観察者は得られた像が何の情報を反映しているかを考慮する必要があり,そのために各検出器の動作原理を把握する事は,ユーザーにとって今後さらに重要になっていく事と思われる。 今回の講演ではCarl Zeiss Gemini column搭載FE-SEMにおいての光学系と検出器との関係,二次電子/反射電子検出器の動作及び信号分離(エネルギー,角度の選別)の原理についてデータを交えて紹介する。


各社検出器によるSEM像コントラストの違いの紹介−FEI
中村美樹(日本エフイー・アイ)
走査型電子顕微鏡(SEM)で観察されるコントラストには,試料表面の凹凸に起因するもののほか,組成,結晶性,磁性,電位などによるものがある。 検出する電子を制御することでこれらの異なるコントラストの像を撮り分けることが可能である。 また,電子の検出方法にはいくつかの手法があり,各検出器でそれぞれ特徴を持っている。
ここでは,FEI製SEMに採用されている各種検出器の検出原理や特長について紹介する。 また,像を解釈する際の注意点などについても併せて述べる。


SEMの倍率精度を低下させる要因
渡邉俊哉(日立ハイテクノロジーズ)
SEMにおいては,表面形態の観察だけでなく寸法の計測も試料評価の重要な役割を担っている。 その基準となるのは倍率であり,これは試料上での走査線幅と表示媒体(ディスプレイ/写真など)上での表示幅との比で定義されている。 しかしながら試料の形状や構造,評価目的に応じた条件設定などにより倍率の精度を低下させる様々な要因が存在する。 ここでは各種条件によりどのような要因が考えられるか,およびその回避方法について紹介する。


断面SEMにおける測長再現性評価
濱口 晶(東芝)
半導体デバイスの微細化に伴い,パターンの寸法管理がますます厳しくなってきた。 デバイスパターンの断面形状における測長箇所も増加の一途をたどっている。 このような状況下,断面パターンの測長精度の向上が強く求められている。
しかしながら断面SEMの計測においては,ワーキングディスタンスの変動による倍率変化などの理由から計測誤差が生じやすい。 また,コンタミネーション等の影響により繰り返し再現性評価は難しいといった課題がある。
本報告では,統計解析を用いて断面SEMの測長再現性と改善方法について議論する。


SEM画像の立体化と計測
直江紀英,山本健太(西華産業)
右目・左目用に角度を付け撮影した2枚の写真を立体視する事は,古くから行われており,SEM画像においても盛んに行われてきた。
近年ではコンピュータ処理速度の向上により,高さ情報を算出し定量化するに至っている。そこで,疑問が出て来る。
  『このたった2枚から構築した高さ情報は正確なのでしょうか?』
本講演ではSEM画像立体化の原理,撮影方法等を独OSIS社の画像解析ソフトウェア『Scandium(スカンジウム)』を用い説明する。


EDX分析とWDX分析で注意すべき点
三井千珠(オックスフォードインストゥルメンツ)
SEM付属の分析装置として普及しているエネルギー分散型X線分析(EDX)と波長分散型X線分析装置は,それぞれの特徴を活かして分析すれば持っている能力を十分発揮することが出来るが,時には分析結果を間違って解釈してしまうこともある。EDXでは特性X線ピークの重なりで,間違った元素を定性してしまったりなどの事例はよく目にすることである。WDXでは比較的大きな電流を照射するので,電子ビームによる試料のダメージやチャージアップなど注意する点は多くある。今回は最新のハードとソフトの組み合わせでも注意しなければならない点を紹介する。


故障解析におけるSEMの役割と限界
井原惇行(楠本化成)
微細化・高集積が進む電子デバイスの故障解析を行うには,微細欠陥や変質層などの故障箇所を可視化することが重要であり,SEMを用いた解析が欠かせない。しかし実際の故障解析でSEMだけに頼ってしまうことは危険である。SEMにより「見える世界」と「見えない世界」あるいは「見えにくい世界」があることを理解しないと解析に失敗する。各種分析機器の特長を生かしながら故障解析を進めていくことの重要性を事例で紹介する。




ポスターセッション&フリートーキング
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