SCAN TECH 2022

SEM の基礎 手取り足取り
〜前処理・観察・分析まで〜

日時:2022年8月26日(金)9:50〜17:00
会場:理化学研究所 横浜キャンパス(対面式とオンラインを併用したハイブリッド開催)
参加費:顕微鏡学正会員 (法人会員除く)・学生 無料 / 非学会員 1,000円
 プログラム(PDF版)

 

開会挨拶豊岡 公徳(理化学研究所)

 

基礎講座(10:00〜11:30)
1.ミクロトームによる材料系試料のSEM試料作製
長澤 忠広(ライカマイクロシステムズ)
概要:
走査電子顕微鏡(SEM)を用いて、試料の内部構造の解析を行う場合、断面作製が必要となる。断面作製には様々な方法があるが、ミクロトームは硬質なナイフを用いた切削加工によって断面を作製する。比較的柔らかい試料の加工に適しており、熱やイオンによって影響を受けやすい試料の断面作製も可能である。また、実体顕微鏡で観察しながら断面作製を行うため、異物故障部の断面出しにも有効である。本発表ではミクロトーム法の基礎から、材料系試料のSEM用断面作製の実際的な手順について紹介する。
 
2.Low-VacuumがHigh-Value!卓上低真空走査電顕の特性を活かした生体構造解析と新たな金ナノ粒子免疫標識法の未知なる可能性
澤口 朗(宮崎大学)
概要:
当研究グループは、光顕用切片に帯電防止処理を加えず観察可能な低真空走査電子顕微鏡の特性を活かし、細胞や組織を立体的に捉える「厚切り切片観察法」を確立しました。これを応用し、タンパク質や遺伝子の発現を電顕レベルで高精細に可視化する手法を開発しました。従来の免疫標識法は長い時間と熟練の技を要しましたが、本法は光顕用パラフィン切片や凍結切片を使用し、酵素抗体法でDAB標識後、塩化金酸処理でDAB標識部位に限局した金ナノ粒子を形成し、高温多湿状態で金ナノ粒子を成長させて可視化する画期的なアプローチです。構造と機能の相関を解き明かす卓上低真空走査電顕の魅力と新たな金ナノ粒子標識法を紹介します。
 
3.金属材料の機械的性質の理解と評価のための走査電子顕微鏡法とその周辺技術
光原 昌寿(九州大学)
概要:
金属の素晴らしい機械的性質の多くは、その塑性変形能に端を発することが多い。その変形の素過程は転位運動であり、個々の転位を詳細に解析するには透過型電子顕微鏡の空間分解能が適している。しかし、変形の結果として組織中に形成される“転位組織”を捉えるには、μmオーダの広域観察が必要であり、それは走査電子顕微鏡が得意とするところである。また、走査電子顕微鏡と電子線後方散乱回折を組み合わせた結晶方位解析法では、転位組織が生み出す塑性ひずみを結晶方位差角として捉え、様々な方法で可視化することが可能であり、変形の様相を理解する上で強力なツールとなる。本講演では、実際の金属材料についてのいくつかの研究例を紹介する。
 

 

企業展示(11:30〜13:00)
会場にてパネル展示を行います

 

SEM メーカーセッション(13:00〜14:00)

 

休  憩(10 分)

 

分析基礎講座(14:10〜15:10)
4.EDX法 -- 元素分析の基礎と分析条件の影響 --
三井 千珠(オックスフォード・インストゥルメンツ)
概要:
エネルギー分散型X線分析装置(EDX)の搭載されたSEMをお使いの場合は多いと思いますが、熟練された像観察技術をお持ちの方でも、分析には少し不安を感じることがあるのではないでしょうか。コンタミネーションや帯電といった像観察ではおなじみの課題も、分析となるとその影響が今一つわかりにくいというコメントもよく聞きます。本講演ではこれらの情報を整理しながら改めてEDXの基礎を説明します。日々の分析作業が少しクリアになる情報を提供します。
 
5.EBSD法 -- 結晶方位の表現と結晶方位マップの見方 --
鈴木 清一( TSL ソリューションズ)
概要:
材料の特性は、構成元素と結晶粒の状態等その組織構造で大半が決まります。EBSD法はその組織構造の解析に使用されています。つまり材料の特性を決める基本的な情報を提供しています。それ故に応用分野は広く、結晶方位の配向性や結晶粒、そして結晶方位差の解析等多岐にわたる解析手法が提供されています。このような多様な情報は、EBSD法によるマップの測定は2次元でありながら、結晶方位の情報は3次元であるということから来ています。このため結晶方位の表現では誤解しやすい部分もあります。本講演では、EBSD法によるデータを正しく見ていただくために、最も基本的な、結晶方位の表現と結晶方位マップの見方について説明します。
 

 

展示企業ショートプレゼンテーション(15:10〜15:50)

 

特別講演(15:50〜16:20)
6.顕微鏡観測された2次元粒径分布及び粒子形状の3次元変換
上田 高生(産業技術総合研究所)
概要:
SEM等での粒子(細胞、結晶、気泡等を含む)の観察に付随して、粒径や形状を観測することがある。しかし、粒子の外観や断面像から2次元的に観測された粒径や形状は、3次元の実態とは異なる。対象物によっては3次元観測が可能な場合もあるが、一般的にコストがかかるため、2次元からの簡易な3次元推定にニーズがある。粒径分布の3次元推定に伝統的に用いられているGoldsmith-Cruz-Orive法やその改良法、及び粒子形状の3次元推定に係る最新研究について紹介する。
 

 

閉会挨拶横江 大作(ファインセラミックスセンター)

 
< オンライン終了 >
 

情報交換会 (16:30〜17:00)
講師の先生方、出展企業との情報交換の場としてご利用ください。

 

※: コロナウイルス感染症の状況によって開催方法・開催場所を変更する可能性があります。


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