SCAN TECH 2015

試料内部構造を観る! 
〜断面作製テクニック 基礎技術から最新技術まで〜

日時:2015年9月11日(金) 10:00〜18:30
場所:東京都市大学 世田谷キャンパス
(〒158-8557 東京都世田谷区玉堤1-28-1)

<開会挨拶>
 稲里幸子(パナソニック)

SEMにおける信号選択技術とその使い分けについて
(仮)渡邉 俊哉( 日立ハイテクノロジーズ )

<概要>
"走査型電子顕微鏡では、表面を観察する二次電子や組成を観察する反射電子が従来より信号として使われてきま した。近年では、さらに複数の検出器を用いて種々信号を使った観察が可能となっています。しかし選択の幅が 広がった反面、操作者が何を観察しているのか、目的の為にはどんな信号を検出すべきなのか、ある程度理解 する必要があります。今回、信号選択および一般的な使い分け方法について、基礎的な技術・情報を紹介します。"

"電子顕微鏡用断面試料作製技術の基礎から応用まで    -カミソリからイオンビームまでを使いこなす-"
"鈴木 俊明 (中嶌 香織)"( 日本電子 )

<概要>
"電子顕微鏡を用い試料の内部構造の解析を行う場合には断面加工が必要となる。しかし、試料の物性や目的(観察手段)に応じた様々な試料作製技術を使い分ける必要がある。 同じ試料でも複数の断面加工法や観察手段がありユーザーが適切に選択する必要がある。 本講演では断面加工用ツールとしてカミソリからイオンビーム装置まで基礎から応用まで幅広く解説し、それぞれの有効性について解説する。また、加工前の染色などの前処理法についても解説する。"

疲労強度解析へのSEM(EBSD)/TEMの適用事例
高橋 可昌( 関西大学 )

<概要>
"材料の疲労強度は,疲労亀裂の発生・進展に対する抵抗性によって決まる. 本講演では,疲労亀裂先端の局所すべり変形に及ぼす水素環境の影響について, SEM-EBSDやTEMを用いた解析事例を紹介し,水素環境下における疲労強度低下の メカニズムについて考察する.

“Seeing is believing”:電子顕微鏡で観る陽極酸化皮膜とは
小野 幸子( 工学院大学 )

<概要>
 アルミニウムの陽極酸化(アノード酸化)皮膜は、古くからその優れた腐食耐性、装飾性,絶縁性、誘電特性の活用が工業的に広く展開されているが、近年その自己規則化ナノポーラス構造は電池材料やナノデバイス作製のための出発構造(テンプレート)としても注目されている。また、マグネシウムやチタン、ステンレス、タンタルなどのアノード酸化による新規な表面創製や触媒応用などにも注目が集まっている。本講演では、金属から半導体までのアノード酸化皮膜のナノ構造の電子顕微鏡観察による解析結果を“百聞は一見に如かず”として紹介する。

光学顕微鏡・電子顕微鏡を用いた材料解析のために
畠山 進一( ビューラー )

<概要>
" 切る、削る、磨くなどの機械的加工によって解析試料面を作製する機械的試料作製手法は、19世紀半ばから行われてきました、現在でも、解析試料の前処理手法の一つとして、幅広い材料分野で採用されています。  解析データの信頼性とその精度を求められる近年では、高レベルな解析試料面の作製が求められています。最適な解析試料面を再現性良く作製するためには、作業条件を選択すること、すなわち「材料と解析目的に対応した装置とノウハウの採用」が最も重要なことです。  機械的試料作製の一般的手順である、切断、埋込み、研磨の各作業段階における「材料と解析目的に対応した作業条件の基本」を紹介させていただきます。 "

"クライオ断面(ヒト皮膚上塗布膜微細構造観察のための角質層と塗布膜の同時採取法開発を通じて) "
吉田 修( 花王 )

<概要>
" ヒト皮膚上に塗布して使用される化粧品などの機能発現において、塗布膜の微細構造は重要な情報と考えられている。その情報を得るためにこれまで、モデル基板や豚皮などを用いて行ってきた。しかし、代替(基板)であることに変わりがないため、直接ヒト皮膚を用いて塗布膜微細構造の情報を得ることが強く望まれている。今回、グリッド剥離法を応用し、皮膚最表面と塗布膜を同時に採取する方法を開発し、ヒト皮膚上での塗布膜微細構造の情報を得ることができた。  講演では、基礎的なクライオ断面の作成方法などを示しながら、ヒフ採取方法、塗布膜断面作製方法および観察例について紹介する。 "

凍結割断による生物試料の観察」
甲賀 大輔( 旭川医科大学 )

<概要>
 細胞や組織の内部構造を走査電子顕微鏡(SEM)で観察するには、観察面を剖出する必要がある。その方法として、試料をカミソリなどの鋭利な刃で切断する切断法、液体窒素で凍結した組織を割断する凍結割断法がある。、また、凍結割断法には、試料を包埋する包埋剤の種類によりアルコール割断法、ジメチルスルホキシド(DMSO)割断法がある。本講演では特に、この2つの凍結割断法について詳しく解説すると共に、これらの手法の特徴と応用例を紹介したいと思う。

導電性樹脂の開発とSBF−SEMへの適用
"乙部 博英( 旭化成ケミカルズ ),大野 伸彦( 山梨大学 ),藤谷 洋( 日本ローパー )

<概要>
近年、SEMの低加速電圧高分解能化によって非導電性試料でも表面観察であれば無コーティング観察が可能となってきた。しかし、断面観察では前処理時の構造保持や利便性から樹脂包埋を伴うケースが多く、非導電体である包埋樹脂の体積が大きくなり、チャージアップに悩まされることが多い。また、様々な材料で三次元評価を実現しているマルチスライス法によるSEM観察では、観察面にコーティングを施すことができないため、チャージアップが顕著に現われる。ここでは、SEM反射電子像でコントラストを示さない導電性包埋樹脂を開発し、SBF-SEM(Gatan社 3View)によるマウス腎組織の三次元評価に適用した事例について紹介する。

<閉会挨拶>
 乙部博英(旭化成ケミカルズ)




<ポスターセッション&フリートーキング>

ポスターセッション&フリートーキングの場では、演者に講演内容のポスターを提示していただき、それを見ながら個別に技術交流することができます。また、下記内容のポスター展示も行っておりますので、奮ってご参加下さい。

"試料前処理 (固定/脱水/乾燥/マウント方法/コーティング)"
許斐 麻美( 日立ハイテクノロジーズ )

<概要>
走査電子顕微鏡(SEM)は、形態観察/分析のツールとして幅広く応用されている。しかし、高分解能かつ高倍率な観察を実現するためには、試料の種類や状況に応じた前処理が必要である。ここでは、生物試料に必要な固定/脱水/乾燥、および試料台へのマウント方法およびコーティングについての前処理例を示す。

SEM用断面加工技術の基礎
中嶌 香織( 日本電子 )

<概要>
"試料の内部構造の観察を行う場合には断面加工が必要となる。しかし、試料の物性や目的に応じて様々な試料作製法を使い分ける必要がある。試料と目的にっては高価な断面加工装置を使うよりも場合によxtぐてはカミソリなどを用いた簡便な方法が時間、コストを考えた場合により効果的な場合がある。 そこで、SEM用断面試料作製技術の基礎1〜3について解説する。"

電子顕微鏡用分析装置(EDS・WDS) / 電子顕微鏡用分析装置(CL・EBSD)
森田 博文( オックスフォードインスツルメンツ ),藤谷 洋( 日本ローパー )

<概要>
真空中で電子線を試料に照射すると、電子線と試料の相互作用により電子、X線、光などが生じる。電子顕微鏡用の分析装置としてはX線により元素情報を得るエネルギー分散型X線分析装置(EDX)、波長型X線分析装置(WDX)、陰極光から発光特性や構造欠陥などの情報を得るカソードルミネッセンス分析装置(CL)、後方散乱電子開設のパターンを元に結晶情報を得る結晶方位解析装置(EBSD)などの装置があり、これら電子顕微鏡用分析装置について解説する

カーボンナノチューブ繊維構造体を用いた分析試料固定
前野 洋平,湯峯 卓哉( 日東電工 )

<概要>
" 近年、分析試料は微細化・表面修飾による機能性向上に伴い、表面形態および成分分布の分析が望まれている。表面SEM観察において試料の固定部材として汎用のテープ・ペーストでは、導電性が低いために起こるチャージアップ、有機成分による試料の汚染やドリフトにより微粒子の表面凹凸を得ることができていない。 日東電工(株)は、カーボンナノチューブ繊維構造体からなる固定部材を開発し、導電性、有機成分レスの特性を生かすことで、試料表面のありのままの姿を評価でき、固定部材に由来するノイズの無いイメージを取得出来ることを見出した。本発表では、分析試料を蒸着することなく最表面の形態観察および成分分析を行った結果を報告する。

●当日は151名の参加(事前登録:109名、当日登録:42名)と3社の出展がありました。ご参加の皆様、ありがとうございました。



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